私のスピリチュアル起業物語-第3章

第3章:人生のドアが閉じ始めている

借金が1,000万円以上に膨らんでいた。

これらの借金は、お客さんの分母が増えたら、それで回収するつもりだった。リピートするお客さんが一定数に達すれば、収益が安定する予定だった。しかし、年中代理店資格の一時停止を食らっていては、それもままならない。

またしても、人生のドアが閉じ始めている。

一体自分は、何を悪い事をしたのか?
こんな不条理がまかり通っていいのか?
怒りとフラストレーションで、眠れない夜が続いた。そもそも、借金が1,000万円を超えると、利子だけで膨大な額になる。果たして来月も屋根がある家で眠れるのか、そんなことさえ心配になる状況だった。
そんな時、会計士から一本の電話がなった。これが再び、人生の扉を開ける事になるとは、その時は想像もしなかった。話は、会計士の別のクライアントで、オンラインビジネスを始めたが、苦戦しているという。そこで、その会計士のクライアントの中で唯一オンラインだけで売り上げをあげている私から何かアドバイスしてあげられるか、という依頼だった。そもそも、自分の家に火がついているような時に、隣の家の火消しをしている場合ではなかった。が、なぜか私は、その依頼を引き受けた。結果として、それが転機になった。

話をして分かったのは、その人は、マーケティングの代理店にぼられていたということだ。初期投資に2百万円以上投資してサイトを作り、毎月80万円くらい広告をしているが、利益はおろか売り上げも全く上がっていないという。しかし聞いた限りのマーケティングでは、まず売り上げにつながらないのが想像できた。そこで、いくつか別の方法を話すと、えらく感謝をされた。それは、私には意外な盲点だった。
会社でも長らくオンラインビジネスの部門にいたので、周りは専門家が大勢いた。そこで誰もが知っている基本的な事を実は世間には知らない人がいて、そして感謝をしてくれる。そっか、これはビジネスになるのか、と、次の扉が見えた気がした。これが、コンサルティングビジネスを始めるきっかけだった。

教訓:人助けは、時に自分を助けているものだ

当初は、アメリカでコンサルティングビジネスをしようと考えた。アメリカのマーケティングしか知らないし、日本を離れて久しいから感覚も鈍っている気がした。だが、ちょっと調べてみると、日本ですごい起業ブームが起きていることがわかった。そして、この波に乗る事にした。

アメリカで1番になった!

これが、日本で発行し始めたメルマガのタイトルだ。これは、例の健康食品を月に5百万円売り上げた時点で、その健康食品のオンライン部門では全米一番の売り上げだったことをヒントにつくったキャッチコピーだった。健康食品をやってきたことは、途中でやめることになったのもあり、回り道をしてしまったと思っていたが、実はそうでもないことに気がついた。コンサルティングを開始しても、健康食品を売る為に毎日ネットにはりついていた経験が、コンサルティングの現場で生かされた。

教訓:人生に無駄な経験は一つもない

本人が魂レベルでやりたいことをやっていない場合、宇宙は応援しない

瞬く間に、メルマガの読者が2万人に達した。

今回のコンサルティングビジネスには、それまでの経験を全てつぎ込んだ。点が線でつながる感じがして、毎日が楽しかった。自分のもっているものを全て出し切る感覚があり、毎日が充実していた。そして何より、今回は、代理店規約も本部もなかった。真の独立を獲得したのだ!これは、会社時代からも含めて、言いようのない開放感だった。本当に、自分の足で立っている、そんな実感がした。
コンサルティングでは、私の会社時代、そして独立してから経験したオンラインビジネスのノウハウを、200ページを超える大作にして、オンラインビジネスの教材として販売した。半年で1,000万円くらい売り上げ、しかもそのほとんどは利益で、開始は順調だった。このまま順風満帆、といくはずだった。
しかし、ここでまた、ビジネスに影を落とす重大な問題が発生した。それは。。。

私の情熱の問題だった。

コンサルティングビジネスは楽しかった。話す事が好きなので、セミナーも、コンサルティングも基本は楽しんでいた。ただ、もっと興味をもっていることがあった。それが、スピリチュアルだった。そもそも、ビジネスは人生の一部だ。そして、人生に起きていることは、突き詰めていくと、スピリチュアルを抜きには語れない。それは、私達は魂であるからだ。
中村天風氏の著作に、こんな主旨のことが書いてあった。

「あなたは何者か?
それは、体だけでもない、心だけでもない、体と心を操る意識体そのものだ。」

これを、別の表現で言えば、魂、ソウル、つまりスピリットということになるだろう。
スピリチュアル、というと、特殊な考え方や、時に宗教みたいなものだと考える人がいるが、それは全く違う。単に、私達が魂であることを知った上で人生を生きるだけの話だ、と私は思っている。
実際、アメリカには、スピリチュアルの、数百億円の市場があった。スピリチュアルイベントは、全米各地で開催され、数千人規模で集まるし、スピリチュアル系の自己啓蒙本は世界で数億冊以上売れ、そうしたスピリチュアルな講演ビジネスだけで年商10億円以上の生計を立てている世界的な活動家が大勢いた。
また、ビジネスコンサルティングをしていて、疑問に思う事が時折あった。それは、本人が魂レベルでやりたいことをやっていない時に、コンサルティングを受けるジレンマだ。ビジネスコンサルタントの看板を出している限り、人は売り上げをあげる為の具体的なノウハウを求めてやってくる。しかし、コンサルティングの経過でわかったことがある。それは、

本人が魂レベルでやりたいことをやっていない場合、宇宙は応援しない。

ということだ。そんな時にいくらノウハウを駆使しても、売り上げはあがらない。こういうビジネスの壁にぶつかった時の答えは、そもそもその人の人生の目的は何か、魂レベルでやりたいことは何か、そんな所から見直さないと、人生は好転しない。これは、ビジネスコンサルタントの仕事ではない。英語で言えば、ライフコーチの仕事だ。

しかし、ビジネスコンサルタントを離れるのは、簡単な決断ではなかった。そもそも、インターネットマーケティング専門のビジネスコンサルタントとしてメルマガ読者を2万人も集めてしまったし、その読者は皆、私にスピリチュアルなメッセージを全く期待していない。それどころか、私が時折メルマガでスピリチュアルな話をすると、怒りのメールとともに解除をする人がでることもあった。

メルマガ読者は、私のビジネスの生命線で、それが一番の財産だった。セミナーに人が来てくれるのも、新商品を購入してくれるのも、このメルマガ読者がいるから成り立っていた。その読者の興味と異なる、全く新しいビジネスを始めるのは、勇気がいる。
全て一から構築するのに、いかにお金と時間がかかるかは、これまでで痛感しているからだ。

あれこれ考えている間に、2年の月日が流れた。私の迷いはビジネスにも表れ、新商品やセミナーの数も減っていき、それは売り上げにも影響し始めた。一方、ビジネスを離れると、心は充実していた。スピリチュアルの書を読み、ワークショップに参加し、サイキックリーダーやチャネラーと話をしていると、人生の深さに魅了される自分がいた。ただ、それをどうビジネスにつなげるかがわからなかった。
私がスピリチュアルでビジネスをやるとして、一体何をするのかが見えなかった。子供の頃から光が見えた訳でもないし、魂と交信ができるわけでもない。

こうして頭で自分を否定していたある夜、あの事件は起きた。

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