英語の試験を終えて国語の試験が始まった頃、礒は疲れが出始めたのか、ウトウトとしたまま現代文を読んでいました。それも問題として文章を読んでいたわけではなく、普通に読み物として読み込んしまっていたそうです。
心地よい眠気があったこともあり、ふと気がつくと試験の残り時間は15分。
その時点で現代文は解き終えていたものの、古文と漢文が残っており、どう見積もっても30分以上かかるような問題量でした。礒は時間配分を決定的に間違えてしまったのです。
その瞬間、全てが終わったと感じたそうです。
「浪人までして目指した上智大学外国語学部・英語学科。得意の英語はよくできたという感触があったものの、国語の試験でこんな失態をしては、流石に倍率が7~8倍の受験を突破することは難しいだろう。ここまで頑張ったのに、肝心なときに失敗をしてしまい、残念だ。もったいない」
礒はそう思いながら、諦めのため息と共にペンを机に置きました。