逃げるは恥だが役に立つ(逃げ恥)がヒットのスピリチュアル的意味

今日は、日本で大ブームを起こしているドラマ、通称「逃げ恥」ヒットのスピリチュアル的意味についてお話をしてみたいと思います。

そもそもドラマを通しで見たのは、私自身何十年ぶりだと思います。きっかけは「偶然」日本に帰国している時に娘が泊まりに来ていて、一緒に見たことでした。

さて、大ヒットになるには必ずその理由があり、そして大ヒットしたものは予定通り、ある気づきを宇宙が届けている事が殆どです。今日はそんな観点からお話してみたいと思います。

第一には、本ドラマの、そして原作の一番のテーマである「契約結婚」です。これは、世に、結婚とはそもそも何か?を再考する機会を届けていると思います。

実際に契約結婚という形態はとっていなくても、実質的には愛ではなく約束事だけで動いている結婚をしている人は、ドラマを見てハッとすることでしょう。

また、ドラマの最終回が秀逸で、結婚を企業への就職に例えて、そして結婚によっては、ブラック企業に務めるように見返りが少なく長時間労働になってしまう、そうした結婚もあると言う例えは、皆が長年なんとなく感じている事を分かりやすく表現していると思います。

結婚によっては共働きが当たり前のこともありますし、逆に玉の輿で好きなだけ遊んで贅沢できる結婚もありますしね。

身内の話ですが、私の両親は父が自営業をしていて、母が帳簿付けや電話番などのサポートをしていました。母はよく「サラリーマンの家はもっと楽なのよ」と溢していましたし、電話番が大変なので、独立初期はそれが元で夫婦でよく喧嘩をしていたものでした。その後事業が好転したら、喧嘩が減りましたけどね(笑)

ドラマの中でもう一つ面白いのは、夫婦を共同経営者という表現で例えた点です。これも、ある夫婦は気づけば男性が最高経営者をしていたり、別の夫婦では女性が最高経営者をしていたり、また別の夫婦では、特に決めずに自然と共同経営者としてお互いで話し合って決めていたり、こうした役割分担を企業に例える事で、とても分かり易く浮き彫りにしていると思います。

こういう表現を使うことで、夫婦として独断で決める範囲と、共同で話して決める範囲というのが明分化されますよね。

もう一つ、ドラマの中で、心理学で言う「承認欲求」も、幾度と無くテーマとして出てきます。人に認められたいというのは、誰もが多少は持っている欲求です。

人に認められるか、愛されるかという事でつい自分たちを判断してしまう私たち。同時にそうやって周りを基準にすると、自分の気持ちが上がったり下がったりで忙しくなってしまう。そこから、いっそ人に会うのを止めてしまおうかという葛藤に揺れ動く二人、こんな心理も絶妙に描いていると思います。

また、主人公みくりを中心に、自分を縛っていた心の呪いから解放される部分もとてもよく描かれていると思います。私たちは多かれ少なかれ、過去に人に言われた一言などで自分に呪いをかけてしまっている事があります。ドラマでは、複数の登場人物がそれぞれの心の呪いを一斉に解放していく様が描かれていましたが、感動的ですらありました。

こうした「解放」は、スピリチュアル的には実は2016年という年にぴったりのテーマです。2016年は、要らないものを取り去り2017年に大変容をする為の大きな節目でもあります。

しかし、何と言っても、このドラマが支持された理由は、

大勢の人に夢を与えた

点にあるでしょう。大人気女優の、ガッキーこと新垣結衣が採用された事もあり、男性からしたら、こんな女性がある日、自分と住み始めたらと言うドラマならではの妄想を掻き立てる上手い設定でしたし、アラフィフシングルの女性が、ひとまわり以上年の離れた若い男性とブレーキを外し恋をしちゃってもいいんだと言うエンディングも、夢を与えるものだと思います。そしてゲイのカップルにも夢を与える演出で、本当に幅広いグループの人たちに夢を与える構成になっていますよね。

また、このドラマは、原作者の妄想、想像した事が現実になった部分もあるようです。原作者の海野つなみは、まだドラマ化が決まる前から、もしドラマになったら、と想像していて、その時から友人と「主演がガッキー(新垣結衣)になったら100点だね」と話していたそうです。本当に想像は引き寄せの第一歩ですよね。

そして今回、素人の私が言うのもなんですが、脚本が本当に素晴らしいと思います。脚本されたのは野木亜紀子氏。彼女の経歴を見ると、演劇を始めたが仲間の演技の才能に圧倒されその道を諦め、次に映画監督を目指して映画学校に進学します。しかし、そこでも現場に向かない事を自覚して諦めます。そこで映像に関わる最後の手段として脚本家を目指したという苦労人です。

しかし、現在脚本家として大成功されているのを見ると、すべてはここにつながるための伏線だったのでしょうね。おそらく、この経歴でしか得られない視点と経験が、現在の原作を最大限に、時に枠を超えて引き出す深さにつながっているのでしょうね。人生は粋にできています。

この脚本で素晴らしいと思ったのは、オリジナルの良さを失わず、オリジナルが伝えようとしていた心理描写を本当に上手に表現される所です。

その脚本を、星野源、新垣結衣という二人が本当に見事に演じたと思います。

私はしっかりフルでお二人の演技を見たのは今回が初めてだったのですが、平匡さん役は星野源さんがぴったりだったと思いますし、また新垣結衣さんの演技力にはびっくりしました。

私が見るに、彼女は綺麗なだけの人ではなく、若い頃から人気街道を真っしぐらで来た割に、悲しい時の演技が上手な事にびっくりしました。切なさとか悲しさとか、それらを演技するにはその感情を味わって無いとなかなか出来るものではありません。

もちろん可愛いイコール悲しさを味わって無いという訳では無いと思いますが、それにしても、様々な感情をこの若さで、微妙な口元や目元などの動きでよくこんなに表現できるものだなぁ、流石プロだと関心した次第です。

個人的に好きだったのは最終回も良かったのですが、第4話です。みくりの言う「逃げ込んでしまいたくなる、この人といれば自己嫌悪の呪いから逃れられるかもしれない」という部分や、平匡の「愛される人はいいなぁ」という部分など原作以上に承認欲求を上手く描写していると思いました。

さて、長くなりましたが、それに加えてあの最後のダンス、もう、これはヒットしない方が難しいですね。あの1分のダンスの制作に3ヶ月を費やしたようですが、人に喜びと感動を与えるには、それだけの周到な準備があるというのも、改めて実感しました。

という事で、2016年を締め括るのに素晴らしいドラマだと思った次第です。

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